寒冷地にお住まいの場合、給湯器内部の水が凍結してしまう場合があります。凍結するとお湯が出なくなるのは勿論、膨張した氷で配管の損傷に繋がる恐れもある為、気温が氷点下になる恐れがある地域では、給湯器の凍結防止策を講じておきましょう。
ここでは、凍結防止策の詳細と、もしも凍結してしまった時の対処法について解説していきます。
黒川精一 (SKG株式会社代表取締役)
「液化石油ガス設備士」「ガス消費機器設置工事監督者」「TES工事士」「第二種電気工事士」など給湯器関連の多数の資格を持つ「給湯器」の専門家。三菱電機・ジャパン建材・東京ガス関連会社など住宅設備機器関連会社に従事した経験を元に、創業50周年の歴史を持つSKG株式会社の代表取締役に就任。
凍結防止が必要な箇所とは?
給湯器には通常、凍結防止機能が元々ついています。気温が0℃~5℃付近になると自動ポンプ運転や給湯器内部のヒーターが作動し、凍結を防いでくれます。その為、凍結を防ぐためには給湯器本体の電源はつけっぱなしにしておくのが大切です。旅行や出張等で長期間家を空ける際にも、電源プラグを抜いたり給湯器の電源ブレーカーを落とさないよう気を付けましょう。
一方、凍結防止機能で保護されるのは給湯器本体内部の配管や、追い炊き配管の部分です。その他は保護されていない為、個別に対応が必要です。
給水配管
地面などから給湯器本体へと繋がっている給水管には凍結防止機能はついていません。その為、凍結防止ヒーター等で保護してあげる必要があります。給湯配管や追い炊き配管と区別がつかない場合には、給湯器本体の取扱説明書を見てみてください。説明書は各社のHP上でも公開されています。
ドレン配管
エコジョーズを使用している場合に必ずついている配管で、汚水を流す為に給湯器本体から近くの排水溝へと出ているのがドレン配管です。
給水配管に比べると流れる水の量が少なく気づきにくい箇所ですが、こちらも凍結防止をしないと凍結による損傷で汚水が漏れ出してしまう恐れがあります。
凍結を防止する方法とは
凍結防止ヒーター(凍結防止帯)を巻く
ネット通販やホームセンター等で売っている凍結防止ヒーターは、給水管の保護と凍結予防に最も効果的です。取り付け方も簡単で、ヒーター部分を間隔をあけてゆるめに巻き、付属の保温テープで巻きあげます。商品に付属の取扱説明書を見れば誰でも作業できるので、寒冷地では普及している方法です。
購入を検討する前に1点だけ注意したいのが電源の確保。凍結防止ヒーターは電気が必要なので、電源プラグを差し込めるコンセントが近くにあるか、確認しておきましょう。
微量の水を流し続ける
- リモコンのスイッチを切る(リモコンが無い場合は給湯器のガス栓を閉める)
- お風呂のお湯の蛇口を捻り、毎分400ミリリットル程度(流れる水の幅4mm目安)の微量の水を出し続ける
水は滞留することで外気温の影響を受けやすくなるため、水を流し続けることで循環を促し、凍結を防止する効果があります。
この時大切なのはお湯の蛇口をひねることと、無駄にガスを使わないようリモコンのスイッチを切っておくことです。水道代は多少無駄にはなってしまいますが、お風呂にお水をためて後々追い炊きをしたり、洗濯用水やトイレ用水に回すなどすると経済的です。
ただ、配管に保温材が施されていない場合には凍結してしまう可能性もあるので、頻繁に0℃を下回るような環境では、凍結防止ヒーターの使用も検討しましょう。
長期間家を空ける場合には水を抜く
通常は必要のない対処法ですが、旅行や出張等で長期間不在にする間に凍結の恐れがある場合、配管の損傷を防ぐために完全に水を抜いておくことで凍結予防になります。
- リモコンの電源をオフにする
- 給湯器のガス元栓を閉める
- 給湯器の給水元栓を閉める
- 室内のお湯の蛇口を開ける
- 給水水抜き栓と給湯水抜き栓を開けて水を全部出す
※元栓や水抜き栓の位置は給湯器により異なるのでメーカーHPで取扱説明書を確認して下さい
不在から戻り、再び給湯器を使用する時は、以下の手順でお湯の利用を再開して下さい。
- 給水水抜き栓を閉める
- 開けてあった室内のお湯の蛇口を閉める
- 給湯器の給水元栓を開く
- 室内の蛇口から水が出ることを確認する
- 給湯器のガス元栓を開く
- お湯を使う
凍結してお湯が出ない時の対処法
予防策をとっていても、凍結してしまった場合は、以下のように対処しましょう。
リモコンの電源をオフにして自然解凍を待つ
まずは室内にある給湯器のリモコンの電源をオフにしましょう。この時、給湯器本体のコンセントは抜かないで下さい。
凍結してしまった場合には、気温が上昇して凍結が自然に解凍されるのを待ちましょう。配管などに直接高温のお湯をかけたりするのは絶対NG!配管の損傷や給湯器の故障原因となります。
また、その他の対処法として、給水元栓にタオルを巻いて30℃~40℃のお湯をかける方法が紹介されているケースがありますが、これでお湯が使えるようになるケースは稀です。
自然解凍を待てず、どうしてもお湯が使いたい場合には、キッチンのコンロやケトルなどでお湯を沸かして対処するのがベターです。
お湯が出るようになったら水漏れがないかチェック
自然解凍でお湯が出るようになったら、給湯器周りを直接見て水漏れが無いかチェックしましょう。
一旦凍結した部分が解けて水が通るようになっても、氷になった時点の膨張で配管が損傷している恐れがあります。
もしも水漏れを見つけた場合にはそのまま放置せず、すぐに専門の業者に点検を依頼して下さい。
まとめ
- 凍結防止には凍結防止ヒーター(凍結防止帯)の活用が最適
- その他の方法は手順に注意
- 無理な解凍厳禁!凍結したら自然解凍待つ
給湯器の凍結予防にはいくつかの方法がありますが、最も効果的なのは凍結防止ヒーターを利用する事です。凍結防止ヒーターの設置はDIYも可能ですので、冬場の凍結が心配な方は是非とも1度お試しください。
また凍結時の膨張で配管が損傷し、水漏れが発生したまま使い続けると給湯器の故障や火災など様々なリスクに繋がります。水漏れを発見した際は、すぐに専門の業者に点検を依頼しましょう。当サイトでは各地域でオススメの給湯器業者を紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。