パナソニック製エコキュートのエラーコード「F19」は、水熱交換器の循環流量が確保できず、出湯温度が異常に上昇していることを示しています。このエラーが表示されると、温度管理の異常によりエコキュートの運転が制限される可能性があります。
この記事では、
- エラーコードF19が表示される原因
- エラーコードF19の直し方・対処法
- エラーコードF19を直せない場合の修理・交換
について詳しく解説します。

黒川精一 (SKG株式会社代表取締役)
「液化石油ガス設備士」「ガス消費機器設置工事監督者」「TES工事士」「第二種電気工事士」など給湯器関連の多数の資格を持つ「給湯器」の専門家。三菱電機・ジャパン建材・東京ガス関連会社など住宅設備機器関連会社に従事した経験を元に、創業50周年の歴史を持つSKG株式会社の代表取締役に就任。
エコキュートのエラーコードF19とは?表示される原因
パナソニックエコキュートのエラーコード「F19」は、水熱交換器の循環流量が確保できず、出湯温度が異常に上昇していることを示しています。このエラーが表示されると、給湯システムの温度管理が正常に機能せず、エコキュートの運転が制限される可能性があります。
主な原因:
- 配管系統の不具合: 配管の折れや詰まりにより、適切な水の循環が妨げられ、熱交換が正常に行われません。また、水側バルブが「閉」になっていることでも発生します。
- 出湯サーミスターの故障: 温度センサーの劣化や損傷により、正確な温度検知ができなくなり、温度管理に支障をきたします。
- ノズルの詰まり: タンク上部のノズルに異物や水垢が詰まることで、適切な水の流れが確保できず、温度上昇の原因となります。
- 熱交換システムの不調: 水熱交換器内部の汚れや劣化により、効率的な熱交換ができなくなることがあります。
これらの原因により、エラーコード「F19」が表示されることがあります。エラーが発生した場合は、速やかに原因を特定し、適切な対処を行うことが重要です。特に温度異常は安全性に関わる問題となるため、早期の対応が必要です。
エラーコードF19の直し方・対処法
原因は複数考えられますが、まずは以下の方法を試してください。
システムのリセット
- リモコンからのリセット: 台所リモコンの「時計合わせスイッチ」と「給湯温度スイッチ」を同時に3秒以上押し、エラーを強制解除します。
- 貯湯タンクユニットからのリセット: 貯湯タンクユニットの漏電遮断器を1分間「切」にし、再度「入」にすることでリセットを行います。
配管系統の確認
水の循環に問題がないか、以下の点検を安全に行ってください。
- バルブの確認: 水側バルブが「開」になっているか確認します。「閉」になっている場合は開けてください。
- 配管の目視点検: 配管に明らかな折れや潰れがないか確認します。異常がある場合は修正が必要です。
- 水漏れチェック: 配管接続部からの水漏れがないか確認します。水漏れがある場合は、接続部を増し締めします。
温度センサーの点検
出湯温度の検知に問題がないか、以下の確認を行ってください。
- サーミスターの確認: 出湯サーミスターが正しく取り付けられているか確認します。
- センサー周りの清掃: サーミスター周辺に付着した汚れを丁寧に拭き取ります。
- 配線の確認: サーミスターの配線に断線や損傷がないか目視で確認します。
タンク上部の点検
温水の出湯に問題がないか、以下の点検を行ってください。
- ノズルの清掃: タンク上部のノズルに詰まりがないか確認し、必要に応じて清掃します。
- 異物の除去: ノズル周辺に水垢や異物が付着していないか確認し、安全に取り除けるものは除去します。
- 水流の確認: お湯を出したときに、正常な水量が出ているか確認します。
エコキュート本体の分解清掃はNG
外から見える範囲には異物が無い場合でも、エコキュート本体の奥深くに異物が混入してしまい、エラーが解除されないケースもあります。その場合、エコキュート本体を一旦分解して清掃する必要がありますが、DIYで分解清掃は行わないで下さい。
エコキュートはガスを取り扱う器具で、分解・組み立て時に何らかの不具合が起きた場合、ガス漏れ等の重大事故につながる恐れがあります。エラーF19がどうしても解除されない場合には、一度お問い合わせください。
それでもエラーが回復しない場合は故障の可能性アリ
これまでの対処法を試してもエラーコード「F19」が解消されない場合、配管系統の重度な不具合、出湯サーミスターの故障、またはタンク上部のノズルの深刻な詰まりが発生している可能性があります。このような場合、専門的な知識と技術が必要となるため、自力での修理は危険を伴い、メーカーや専門の修理業者に依頼することをおすすめします。
専門家による点検を受けることで、配管系統の詳細な診断、サーミスターの抵抗値測定、水熱交換器の状態確認などを行い、異常箇所を正確に特定し、適切な修理や交換が行われます。特に、出湯温度の異常は安全性に直接関わる問題であり、火傷などの危険性もあるため、迅速な対応が必要です。
また、エコキュートが保証期間内であれば、無償修理の対象となる可能性があります。保証書を確認し、必要に応じてメーカーや販売店に連絡して対応を依頼してください。出湯温度の異常は使用者の安全に関わる重大な問題となる可能性があるため、早めの対応を行うことで、事故や不具合の拡大を防ぐことができます。


エコキュートの修理・交換は自分でできる?
一般の方が自身でエコキュートの修理や交換を行うことは、以下の理由から避けるべきです。
エコキュートの修理や交換作業には法的な資格が必要です。「液化石油ガス設備士法」により、エコキュートの設置や修理は有資格者のみが行えることが定められています。
液化石油ガス設備工事の欠陥等による災害発生の防止のため、ガス栓と硬質管を接続する作業など特別な技能を必要とし、かつ、災害の発生防止に特に重要と認められる作業については、液化石油ガス設備士が従事しなくてはなりません。
また、無資格での作業は重大な事故を引き起こす可能性があります。具体的には

上記のような危険があります。
さらに、自分で修理や交換を行った場合、メーカー保証が無効になってしまう恐れもあります。
このように、エコキュートに関する作業には様々なリスクが伴います。そのため、修理や交換が必要な際は、必ず信頼できる専門業者に依頼するのをオススメします。

エコキュートの修理の費用は?
症状 | 修理費用の目安 |
---|---|
電源が入らない場合 | 14,000円~45,000円 |
お風呂の自動運転が反応しない場合 | 14,000円~45,000円 |
水漏れの場合 | 14,000円~45,000円 |
お湯が出ない、お湯が沸かない場合 | 16,000円~45,000円 |
リモコンが点灯しない場合 | 19,000円~45,000円 |
エラーコードが表示される場合 | 14,000円~156,000円 |
エコキュート給湯器の修理費用は、部品代、技術料、出張料を含む概算であり、故障の内容や部品の交換内容によって大きく変動します。修理費用を抑えるためには日頃からのメンテナンスが重要で、定期的な点検や清掃を行い、故障のリスクを抑えることが出来ます。
保証期間内であれば、修理費用が無料または割引になる場合がありますので、故障の際は保証内容を確認しましょう。
特に大規模な修理が必要になった場合、100,000円以上かかる場合もありますので、エコキュートを交換したほうがオトクな場合もあります。
エコキュートを交換する際の費用は?
エコキュート交換を依頼できる業者には主に
- エコキュート交換専門店
- ホームセンター
- ガス会社
- 家電量販店
などがありますが、最も安いのはエコキュート交換専門の業者です。
ホームセンターや家電量販店は、実際には地域の施工業者へ依頼を回す窓口の役割を果たしています。また、ガス会社もエコキュートの交換は自社で行わず、関連会社や下請け業者に任せることが多いのが現状です。
そのため、これらの業者に依頼すると中間マージンが発生し、費用が高くなる傾向があります。コストを抑えるためには、エコキュート交換専門の業者に直接依頼することが一番おすすめです。
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