テレビアンテナの設置工事を行う際、様々な部品が必要です。
そして必要な部品を適切に選ぶ知識と、適切に設置する技術が必要になってきます。
以下では、それぞれの用途やテレビアンテナ工事の現場で実際にどのように使われているか、一つずつ解説していきます。
テレビアンテナ本体
テレビアンテナ工事に必須なのがテレビアンテナ本体です。
テレビアンテナ本体は、地上デジタル放送用のアンテナと衛星放送用のアンテナがあり、地デジ用のアンテナは主に八木式アンテナとデザインアンテナに分類されます。
一方、衛星放送用のアンテナはBS/CS放送が視聴できますが、2018年から放送が開始されたBS4K8K用のアンテナもあります。
地上デジタル放送用(八木式アンテナ・デザインアンテナ)
魚の骨のような形状の物が八木式アンテナ、箱型のスタイリッシュな物がデザインアンテナと呼ばれる物で、どちらもUHF波(地デジ電波)を受信する機能を持っています。利得と呼ばれる受信感度の強さによって形状や価格が変わります。
テレビアンテナ工事で使われるのは基本的には受信性能が高い室外設置用のタイプで、主に屋根上、屋根裏、家の外壁、ベランダの支柱などに取り付けられます。
電波が送られてくる送信局の方角と、設置場所の電波状況をレベルチェッカーと呼ばれる専用の機器を使って測り、角度を見極めた上で設置・固定します。一般住宅の新規設置工事で年々人気が出ているのがデザインアンテナで、八木式アンテナは外観が悪いことから需要が減っています。
衛星放送用(BS/CS、新BS4K8K用)
衛星から飛ばされる電波をキャッチするのがBS/CS放送用のパラボラアンテナです。
従来のBS/CS放送用のアンテナと4K8K放送に対応したアンテナが有り、近年の設置では2018年12月より始まった新BS4K8K放送に対応したタイプが主流になっています。
市販されているBS/CSアンテナは、取り付け用の金具とセットになっているタイプや、電波が取れているかどうか確認する為のレベルインジケーターがセットになっているタイプなど、ニーズに合わせて様々なラインナップがあります。そのため地デジ用アンテナと比べてBS/CSアンテナは、DIYでの設置は比較的容易です。
テレビアンテナ工事に使われる周辺機器
テレビアンテナ工事では、アンテナ本体以外にも必要に応じて様々な周辺機器が必要になってきます。自宅の形状や電波環境、視聴環境(何部屋でテレビを見るか)などによって必要な周辺機器が変わってきます。
同軸ケーブル
同軸ケーブルとは、テレビアンテナ本体とブースター、分配器、テレビ本体などを繋ぐケーブルで、内部導体(銅線)、 絶縁体(ポリエチレン)、 外部導体(網組み銅線)、 保護被覆(ビニル)で出来ています。市販されているケーブルには分波器とセットになっている物もあります。
また、同軸ケーブルには、2C 3C 5Cなど、太さの規格があり、それにより伝送ロスの程度が変わる為、長距離用・中距離用・短距離用など、テレビアンテナと各種機器の設置場所・長さによって使い分けます。
テレビブースター
テレビブースターとは、テレビアンテナ本体で受信した電波を増幅する装置です。タイプによって対応している周波数帯が異なり、新BS4K8Kを視聴するには対応したブースターが別途必要です。ブースターは受信レベルが低い地域でテレビを綺麗に映す為や、分配数が多い(3部屋以上)場合などに使用されます。
設置場所は主にアンテナ本体の直下であるケースが多いのですが、アンテナ本体と近すぎると電波障害が発生するケースもあり、適切な工事が求められる部品です。
分配器
分配器とは、テレビアンテナ本体からの電波を複数に分ける役割を持っています。複数の部屋にテレビ端子を付ける際には必須の部品で、2分配、4分配が主に使われています。
分配器は、送られてきた地デジ・BSなどの混合電波をそのまま分割しますが、その分以降の電波に伝送ロスが生まれます。その為、ブースター等で電波を補強します。
分波器・混合器
分波器とは、地デジ・BS/CSと種類の違う電波をそれぞれに分ける機械。混合器がまとめる機械で、両方の機能を兼ねているケースが多いです。
地デジアンテナが複数あったり、BS/CSアンテナとの同時設置の場合など、設置場所と建物内部の構造上、ケーブルを途中で一つにまとめたり、分配しなければ取り回しが出来ないケースがあり、必要に応じて使われます。
分岐器
分岐器は分配器と同じく電波をそのまま分割する機能を持っています。分配器は電波を1/2づつ、1/4づつ、といったように均等に分けますが、分岐器は分ける比率を調整する機能を持っていて、1:9で分ける、2:8で分ける、といったことが可能です。
マンションやアパートなど、テレビアンテナ本体から各部屋までの距離に大きな違いがある際などで使用されるケースが多く、一般家庭用にはあまり使用されません。
テレビアンテナ工事に使われる取付用部品
テレビアンテナの取り付け用部品は、設置するアンテナの種類と設置する場所によって必要な物が変わります。
アンテナマスト
八木式アンテナやBS/CSアンテナを支える為のマストで、ステンレスやアルミで出来ています。25~32mmが主流のサイズです。アンテナマストを固定する金具とセットになっているケースもあります。屋根上・壁面・屋根裏、どの設置場所でも使用される可能性があり、テレビアンテナ工事の際は適正な長さの物を選ぶ必要があります。
屋根馬
屋根上に八木式アンテナ(+BS/CSアンテナ)を設置する際に使われるアンテナマストを支える土台を屋根馬と言います。
屋根裏や壁面にテレビアンテナが設置される際には使われません。また、デザインアンテナの設置にも使いません。
サイドベース
サイドベースとは、アンテナマストやデザインアンテナを固定する際に使われる部品になります。壁面金具とも呼ばれます。主に壁面や屋根裏、ベランダの柱などにテレビアンテナを設置する際に使用されます。
横に固定する為、そのままボルト固定をすると緩んだりしやすく、施工の際は予めアンカーを打ってから固定します。
支線(ワイヤー)・ステーアンカー・インシュレーター・ターンバックル等
主に屋根上にテレビアンテナを設置する際に使用されます。屋根馬+アンテナマストでアンテナ本体を固定した後、支線を4方に張って、固定の強度を高める目的で使用されます。
テレビアンテナ工事の部品 まとめ
以上がテレビアンテナの設置工事の際に使われる部品です。テレビアンテナ工事の業者は、これらを状況に応じて適切に使い、テレビが見られるようにするんですね。
尚、実際にこれらを用意すればテレビアンエナを自分で設置できるかと言うと、そう簡単な話ではありません。DIYについては下記ページにて詳しく解説していますので、こちらも合わせてご覧ください。