「テレビアンテナ工事は自分でできる?」
「自分でアンテナ工事をする場合の手順は?」
「自分でアンテナ工事をする場合の注意点は?」
アンテナ工事は、業者に依頼すると最低でも1万円はかかる工事です。ただ、通販などで5千円前後からテレビアンテナを購入することができるため、自分で取り付けようとする方も多くいらっしゃいます。
結論をいうと、全くの素人が自分でアンテナ工事をするのはオススメ出来ません。工具がない方なら、業者に頼んだほうが安く済みます。
とはいえ、アンテナ工事の全体のイメージが掴めなければ「自分で工事したほうが安く済むのでは?」とモヤモヤするかと思います。
そこでこの記事では以下についてまとめました。
- テレビアンテナ工事の全体図と詳細
- 地デジアンテナをDIYで取り付けるやり方と注意点
- BS/CSアンテナをDIYで取り付けるやり方と注意点
- テレビアンテナ工事のオススメ業者
アンテナ工事のDIYについての大まかな流れなどを理解できると思いますので、アンテナ工事を検討している方は参考にしてみてください。
テレビアンテナ工事とは?全体図と詳細
テレビアンテナ工事は、地デジであれば東京スカイツリーや大阪生駒山などの電波塔から、BSであれば衛星から、それぞれ発信されている電波を受信できるよう、宅内環境を整える工事です。
テレビを視聴する為に必要な工事で、アンテナ本体の設置・取り付けやケーブルの取り回し、周辺機器の設置などが工事内容となります。電気工事士等の特別な資格は必要ありませんのでどなたでもDIYは可能ですが、取り付けには正しい知識と技術が必要で、DIYの中でも要求レベルは高い方です。
DIYを検討するにあたって
『インパクトって何?コーキングって何??』
というような、DIY初心者の方にはかなり難しい作業になりますし、リスクもあります。そのような方は素直にプロの業者にテレビアンテナ工事を依頼することをオススメします。
テレビアンテナ工事を自分でする最低限の条件
テレビアンテナを自分で設置する場合には、まず下記の条件を満たせているか確認してください。
- DIY用の一般的な工具を持っている(インパクトやコーキング剤など)
- それらの工具を取り扱うスキルがある
- 屋根上や外壁など高所での作業経験がある
- 高所作業になる為、落下によるケガのリスクを理解している
- 設置したアンテナが万一倒壊・落下して隣家に被害を与えた場合の損害賠償リスクを理解している
- 結果的にテレビが視聴できない状況に陥っても自己責任と割り切れる
上記の内、一つでも引っかかる部分があるようであれば、テレビアンテナを自分で設置することはオススメできません。その際は、素直にプロの業者にテレビアンテナ工事を依頼することをオススメします
テレビアンテナの設置に必要な資格は無いが……
テレビアンテナを自分で設置するにあたり、通常の施工だけであれば電気工事士等の資格は必要ありません。
ただし、アンテナ端子の増設やケーブルの加工など、市販されている商品に手を加えたり、自宅の配線構造を変更するには有資格者である必要がありますので、ご注意下さい。
室内用のテレビアンテナは簡易版
まず初めに、最も設置が簡易な室内用のテレビアンテナについて解説します。
このタイプの地デジアンテナは、室内の適当なところに置いて、テレビとケーブルで繋ぐだけの物です。設置用の特別な工事は一切必要ありませんので、設置方法をわざわざ説明する必要もない便利な商品です。
ただし、室内用アンテナは使える人が限られます。
室内用のテレビアンテナは、そもそも簡易受信機であって、テレビ電波を確実に取れる事は一切保証していません。
通常、強電界域と呼ばれるテレビ電波の送信塔から半径約10kmの範囲内で、かつ送信塔との間に遮蔽物が無ければ視聴できると言われていますが、あくまでもテレビの視聴可否は保証されていない、簡易アンテナであることは理解した上で使う商品です。
では、ここからは一軒家に屋外用の本格的なテレビアンテナを自分で設置する方法について解説していきます。
地デジアンテナのDIYの手順
まず、地デジアンテナのDIYについて手順を説明していきます。尚、工事に使う各部品の詳細については下記ページをご覧ください。
なお、地デジアンテナは屋根上に設置するのが一般的ですが、自分で設置する場合にオススメの場所はベランダです。ベランダへの地デジアンテナの設置に関する詳細は、以下の記事でまとめています。
地デジアンテナのDIY1.自宅の電波調査・設置場所の選定
DIYを行う上でいきなりネックとなるのがご自宅の電波状況の把握・調査です。
プロの業者は、まず初めにレベルチェッカーと呼ばれる電波測定器を使って電波の受信レベルを確認し、設置場所を決めていきます。レベルチェッカーは業務用の物となると5万円ほどするため、これだけでDIYより業者に頼んだ方が安くなってしまいます。安い簡易的なレベルチェッカーも販売されていますが、安いレベルチェッカーでは参考程度の数値しか得られない為、あまり役に立ちません。
レベルチェッカーが無い場合、送信塔との距離からおおよその電界域を推測した上で、近隣住宅の地デジアンテナの種類・向きを参考にするしかありません。あくまでもギャンブルのような方法で、電波測定をしない場合、上手く電波が取れずテレビが見られない可能性は十分あるという事は覚えておきましょう。
地デジアンテナの設置は、電波レベルだけでなくアンテナ本体の利得(電波の受信能力)も関係してきます。本来は、電波状況の測定⇒適合するアンテナ本体の選定、といった順に進めていきますが、業者でもない限りレベルチェッカーなど持っていないという方がほとんどでしょう。
地デジ電波の方角取りはそれほど厳密ではありませんが、電波レベルが足りないものはどうしようもありません。アンテナ本体を適当に購入し、いざ設置しても電波が取れずにテレビが映らない……DIYの場合、こうなる可能性は十分あるという点は覚悟しておきましょう。(※電波測定を飛ばす裏技は後述します)
地デジアンテナのDIY2.分配器の位置とケーブルの引き込み口を確認
アンテナ本体の設置場所にも関係しますが、まずはケーブルの引き込み口を確認してください。電線やネット回線の引き込み口と同じ場所にあるケースが多いです。場合によってはエアコンダクトを通すケースもあり、その際は穴あけ・穴ふさぎのコーキング加工が必須です。
次に、複数の部屋でテレビを見る場合に必要な分配器の場所も確認しておきます。お風呂場の天井裏に設置されているケースが多く、新築戸建てであれば、分配器からアンテナ端子までの施工は済んでいますので、アンテナ本体から分配器までの取り回しを考えておけばOKです。
地デジアンテナのDIY3.地デジアンテナの固定器具を設置
地デジアンテナの種類(八木式かデザインか)と設置場所を決めたら施工開始です。
まずは、設置場所に固定用の土台を設置します。屋根上設置+八木式アンテナの工事であれば、屋根馬を設置。外壁・屋根裏への設置であればサイドベース(壁面金具)を固定します。
屋根馬は屋根上に登って、屋根馬+アンテナマストを支線で固定する必要がありますが、サイドベースであればアンカーボルトを打ち込んだうえでビス止めするだけですので、比較的施工が簡単です。ビスを打ち込む場所の素材によって、必要に応じてコーキング加工も施します。
地デジアンテナのDIY4.地デジアンテナ本体の固定と角度調整
土台が決まったら、アンテナマストを使ってアンテナ本体を固定していきますが、その前にアンテナの角度を決めていきます。どちらの方角に向ければ良いかは、下記のアプリを使って確認することができます。
八木式アンテナであれば、下記のように拡がっている側を送信局と逆に向けます。
デザインアンテナは、垂直に立てた形で平面の表側を送信塔の方角に向けます。
実際に電波が取れているかどうかの確認方法ですが、通常はレベルチェッカーを使います。ここではレベルチェッカーが無いことを前提に解説しますが、アンテナ本体を固定したら、アンテナケーブルをテレビ本体に一旦繋ぎましょう。
現在発売されているテレビの多くが、アンテナレベルを測る機能を持っているので、テレビ画面で受信状況を確認しながら作業を行うと確実です。※高所への上り下りが増えると危険ですので、2名以上での作業をオススメします。
また、この際必要に応じて混合器・分波器なども設置してしまいます。
地デジアンテナのDIY5.ブースター設置とケーブルの取り回し
アンテナ本体の角度調整が終わったら、必要に応じてブースターの接続・固定工事を行います。ブースターはアンテナ本体と近すぎると電波障害を起こす場合もありますので、特に八木式アンテナの場合は、1メートル以上離して設置して下さい。また、ブースターは電源が必要ですので、どこから電源を取るか、予め確認しておきましょう。
ブースターが設置できたら、ケーブルを室内に引き込み、分配器へ接続します。以上で地デジアンテナ工事の設置は終わりです。
地デジアンテナを自分で取り付ける際、ネックになるのがレベルチェッカーです。本来、これが無いと設置場所を決めることすらできません。ただ、『業者の無料見積もりを利用』するという裏技があります。
これは、無料見積もりで業者に電波調査までをやらせるという物で、見積もり書を入手できれば、その中に必要な部品の型番も含めて記載されていますので、自分でアンテナ本体他、必要な部品を選ばなくて良くなります。設置場所も、電波調査の際立ち会っていれば、分かるでしょう。
ただし!!この裏技は、モラルとしてはNGです。当サイトで推奨することはありません。また、その結果発生したトラブルには一切責任を負えません。あくまでもレベルチェッカーを使うか、取り付けに失敗するリスクを覚悟の上でもトライしたい、という方以外に地デジアンテナのDIYはオススメしませんのでご了承下さい。
BS/CSアンテナのDIYの手順
これからBS/CSアンテナを設置する手順を説明していきますが、その前に一つ注意事項があります。
BSの4K8Kの一部チャンネルはブースター・分配器・ケーブル交換が必要
現在、BS/CSアンテナは、2018年12月に放送が始まった4K8K番組に対応したアンテナと、旧来の4K8K非対応のアンテナが混在しています。
BS4K8K放送の全チャンネルを見たい場合、アンテナ本体・ブースター・分配器・分配器・ケーブル等の周辺機器全て4K8K対応の物を用意する必要がありますのでご注意下さい。また、チューナーやテレビ本体も全て4K8K対応とする必要があります。
※BSアンテナからのケーブルを直接テレビに繋ぐ方法の場合、ブースター等の交換は必要ありませんが、1台のテレビでしか視聴できません。
地デジアンテナとBS/CSを同時に新規設置しよう、という方であれば予めブースター等も4K8K対応の物を選べば問題ありませんが、BS/CSアンテナだけを新規に取り付ける・交換する場合、4K8Kに対応させるのかどうか、事前に確認の上、施工しましょう。
BSアンテナのDIY1.設置場所の選定
画像引用元:サン電子
BS/CSアンテナは、地デジアンテナと違い角度調整がシビアです。
方角は西南西、仰角は40~45度が基本となりますが、まずはアンテナを向ける方向に高層マンション等の遮蔽物が無いかを確認しておきます。また、アンテナケーブルをどうやって引き込むのかも想定の上で設置場所を決めましょう。
DXアンテナからレベルインジケーターがセットになっている商品が発売されています。これは、電源を入れるとLEDランプが点灯し、電波をキャッチすると消灯する仕組みになっていて、これにより角度調整が格段に楽になります。
これがあるのとないのとではDIYの難易度が格段に変わりますので、出来る限りレベルインジケーターがある物を選ぶのがオススメです。
BSアンテナのDIY2.土台金具の取り付け
BS/CSアンテナは、地デジアンテナとの同時設置であれば地デジアンテナと同じ場所に設置します。BSアンテナ単独であれば、ベランダに設置するケースが多いです。いずれにしても決めた設置場所によって固定する金具が変わります。
- 屋根上:BSアンテナ本体をアンテナマストに固定、土台は屋根馬
- 外壁:サイドベースをアンカー+ビス止めで固定し、アンテナマストを立ててBSアンテナ本体を固定
- ベランダ:土台をベランダに挟み込み固定し、アンテナマストにBSアンテナ本体を固定
このように場所に応じて固定していきます。
BSアンテナのDIY3.アンテナケ-ブルの引き込み・接続
BS/CSアンテナの土台が固定できたら、角度調整の前にアンテナケーブルを繋ぎます。
- 1部屋で見る場合:薄型ケーブルでサッシの隙間を通すかエアコンダクトから通してテレビへ繋ぐ。
- 複数の部屋で見る場合:分配器を通す必要があるので、混合器で地デジとBSのケーブルをまとめた上でブースターに繋ぐ
BS/CS番組を見るのが一部屋だけならばケーブルの取り回しは比較的簡単です。
一方、複数の部屋で見られるようにするには、混合器が必要だったり、地デジアンテナ本体との距離も考慮する必要があり、かなり手間がかかりますので、施工する前に配線の取り回しもイメージしておきましょう。
BSアンテナのDIY4.方角・仰角を調整する
ケーブルをテレビに繋いだら、最後に角度調整を行います。大まかな角度はスマホアプリなどで目安を取り、細かく調整していきながらレベルインジケーターで受信しているかをチェック。電波が取れたら、そのまま角度がズレないよう、慎重に固定していきます。
尚、レベルインジケーターが反応していても、テレビ画面上に映像が反映されるまではタイムラグがあります。最大5分程度待つ必要がある場合もありますので、焦らずじっくりと角度調整を行って下さい。
以上がBSアンテナの取り付け方になります。
テレビアンテナ工事のDIYはリスクが大きい
ここまでやり方を説明した通り、テレビアンテナ工事のDIYは可能です。しかし以下のリスクがあることも覚えておかなければなりません。
- 高所作業の為、落下して大怪我をするリスク
- 台風など自然災害でアンテナが落下した場合に隣家へ被害を与えれば損害賠償となるリスク
- 施工手順を間違えて電波障害・電波漏洩を起こした場合、意図的ではなくても電波法で罰せられるリスク
これらは、DIYが出来る出来ないとは関係なく存在するリスクです。
また、以下は各地域でオススメのアンテナ工事業者の料金表です。
みずほアンテナ | アンテナ110番 | アンテナドクター | 街角アンテナ工事相談所 | スターアンテナ | アンテナ王子 | ライフテックス | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
八木アンテナ | 24,200円~(税込) | 20,400円~(税込) | 16,500円~(税込) | 16,000円~(税込) | 17,000円~(税込) | 16,500円~(税込) | 18,480円~(税込) |
デザインアンテナ | 27,500円~(税込) | 18,700円~(税込) | 22,000円~(税込) | 20,000円~(税込) | 22,000円~(税込) | 22,000円~(税込) | 25,080円~(税込) |
BS/CSアンテナ | 22,000円~(税込) | 10,200円~(税込) | 16,500円~(税込) | 20,000円~(税込) | 22,000円~(税込) | 22,000円~(税込) | 17,380円~(税込) |
対応地域 | 関東:全域 関西:大阪・京都・奈良・兵庫 東海:愛知・岐阜・三重・静岡 九州:全域 | 全国 | 関東:東京・埼玉・神奈川・千葉 関西:全域 東海:愛知・岐阜・三重・静岡 中国:広島・鳥取 四国:香川・徳島 九州:福岡・熊本 | 関東:全域 関西:大阪・京都・奈良・兵庫・和歌山 倒壊:山梨・岐阜・静岡・愛知 中国:広島・岡山・鳥取 九州:福岡 | 関東:東京・埼玉・神奈川・千葉 東海:愛知・静岡・三重・岐阜 関西:大阪・京都・奈良・滋賀 | 東北:宮城・山形・福島 | 関東:全域 関西:大阪・京都・奈良・兵庫・滋賀 東海:愛知・岐阜・三重・静岡 東北:宮城・山形 |
公式サイト | みずほアンテナ | アンテナ110番 | アンテナドクター | 街角アンテナ工事相談所 | スターアンテナ | アンテナ王子 | ライフテックス |
プロに頼むのとDIYでやるのと、地デジ+BSのセットでも金銭的な差は精々2万円程度しかありません。その上、慣れていない方なら作業時間も相当かかるでしょう。
そこまでの労力をかけてDIYをするべきなのか、リスクもしっかりと考慮し、あくまでもDIYは自己責任の原則をご理解下さい。
当サイトでは以下のページで、各地域でオススメのアンテナ工事業者を紹介しています。そちらを参考に、数件見積もりを取ってみてから、DIYで取り付けるのかを今一度検討してみてください。
テレビアンテナのDIYに関するよくある質問
テレビアンテナは自分で交換できますか?
テレビアンテナの交換は、基本的には自分で行うことができます。しかし、アンテナの取り付けや方向の調整に関する専門知識、適切な工具、作業中の落下のリスクなど安全性の確保が必須です。また、一部の地域や建物では、アンテナの取り付けに関する制約や許可が必要な場合があります。不安な場合や経験がない場合は、専門業者に依頼することをおすすめします。
テレビブースターの取り付け費用はいくらですか?
テレビブースターの取り付け費用は、業者に頼んだ場合15,000円~35,000円ほどです。地デジ専用のブースターなら15,000円~、地デジ+BS/CSに対応したブースターなら25,000円~が目安になります。ただし、上記はアンテナ+ブースターの工事の場合のブースターの工事の費用で、ブースター単体工事の場合は若干高くなります。また、業者によってはブースターの単体工事を受け付けていない場合もありますので注意してください。
テレビのアンテナ配線工事はいくらくらいしますか?
テレビのアンテナ配線工事の費用は、1,000円~20,000円ほどです。アンテナから分配器までの配線の工事・分配器からテレビまでの配線の工事・アンテナから分配器を経由しテレビまでの配線工事といった配線工事の内容と、それに伴う穴あけ工事の有無、また配線の距離によって費用が変わってきます。
アンテナのいらないテレビはありますか?
アンテナがいらないテレビもあります。ワンセグ、フルセグが内蔵されているテレビならアンテナを設置する必要がありません。ただし、受信感度は外部アンテナに比べて劣る場合があります。またケーブルテレビを契約すれば、アンテナを設置しないでもテレビが視聴できます。
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